2011年12月15日木曜日

失恋(加藤ミリヤ)

つらい・・・
あの人は、もう僕の傍には来てくれない。
ほんの1週間前まで、あの人は真っ直ぐに僕の傍らへ座ってくれたのに・・・
錯覚では無い、あの人は他の空き席をスルーして確かに僕の傍らを
目指してくれた。
あの人が示してくれた好意のわずかな片鱗を
拡大解釈し、一人舞い上がった馬鹿な奴。
白い手を握りたい。黒髪に触れてみたい。
桜貝のような耳たぶに触ってみたい。
内から湧き起る強い衝動を抑えつけながら、
僕は、あの人を見つめ続けた。
見つめる事で想いが通じるかのように。
あの人は、気味悪く思ったのだろうか?
もはや嫌悪の対象になってしまったのか?
でも、それなら何故ずっと遠くに座らないの?
まるで当てつけのように、僕の視線が届く
極近い席にあの人は座る。
見まいとしても、視線を外せない。
あの人は僕の視線に気がつかないのか?
つらい、苦しい、
あの人が僕を認識する前、偶然に隣になれた時、僕は幸せだった。
確率操作しようと僕は小細工を弄した。やがて、あの人が僕を認識し、
意図的に隣に座ってくれるようになった時、僕は幸福の絶頂だった。
あのままの時が続けば、どんなにか良かっただろう。
いや、それは不可能なのか。僕は更に求めてしまった。
あの人と目線を絡ませたい。見つめ合いたい。
僕の好意に応えて欲しい、僕を好きになってほしい。
あの人と話してみたい。あの人の名前が知りたい。
あの人を抱きしめたい。あの人にキスしたい。
愚かな願い・・・全てはまぼろしだ。
あの人が僕を認識などしてくれなければ良かった。
そもそも、あの人に気が付かなければ良かった。
そうすれば、こんなつらさとは無縁で居られたのに・・・
こんな時は加藤ミリヤの歌が心を抉る。
心が痛くなる程、メロディが、歌詞の一遍までもが、
ミリヤの歌声で生々しく突き刺さる。
加藤ミリヤ「HEAVEN」「RING」最高の失恋アルバムです。